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公開講座:パウル・クレーの両面作品

浄土複合スクールでは、スイスのパウル・クレー・センター研究員の柿沼万里江氏によるオンラインレクチャーを開催します。パウル・クレー・センターの学術協力による大規模なクレー展が兵庫県立美術館で開催される今、両面に描かれた作品という新鮮な視点からの最新研究をご紹介いただく貴重な機会となります。ぜひご参加ください。

浄土複合スクール 公開講座

パウル・クレーの両面作品

講師:柿沼万里江(パウル・クレー・センター研究員)

2025年5月2日(金)18:00-20:00 オンライン配信+録画

オンライン視聴:1000円

オンライン視聴+『Jodo Journal 6』セット:2500円

※配信チケット購入の方は、配信から一週間、録画をご覧いただけます。

※jodofukugoh@gmail.comより前日5/1 18:00ごろ、当日5/2 16:00ごろに配信URLをお送りします。携帯アドレスの方はドメイン指定受信などの設定にご注意ください。

概要

パウル・クレー(1879-1940)は60年の生涯で9600点もの作品を制作した。そのうち約600点の作品の裏側には、素描、水彩画、油彩画が残されている。これは、画材の節約という経済的な理由からも、破棄された絵が裏側に残っていたという偶然としても説明できない事象である。クレーの芸術理解からすると「作品」とは、完成という静的な一点からではなく、有機的・動的なプロセスから把握されるべきものであり、その意味で、両面作品の制作プロセスを解明することは、「存在」よりも「生成」を重んじた画家の本性に迫ることを意味する。どの近代芸術家とも比べものにならないほどに、作品の表と裏を構造的・内容的に関連づけたパウル・クレーの多層的かつ形而上学的な絵画制作方法を、スイスのパウル・クレー・センターに所蔵された多数の作品を事例に解説する。

講師プロフィール

柿沼万里江|かきぬま・まりえ
パウル・クレー・センター研究員。チューリヒ大学美術史学科にスイス政府奨学金給費生として留学し、同大学で博士号を取得(Summa cum laude授与) 。チューリヒ大学美術史学科のゼミナール助手、研究助手、研究員を経て現職。クレー作品の真贋鑑定の責任を担い、また近年では芸術作品の由来、来歴の調査研究にも従事。パウル・クレーに関するドイツ語の著作多数。⽇本語での近著は『⽇々はひとつの響き ヴァルザー=クレー詩画集』:ローベルト・ヴァルザー詩/パウル・クレー画/柿沼万⾥江編/若林恵・松鵜功記訳、平凡社、2018年。